丹の国茶

歴 史

日本の喫茶の起源は弘仁6年(815年)、嵯峨天皇が近江の国・唐崎に行幸された際、梵釈寺の僧永忠の煎じた茶を服されたことが確かな記録としては初めてで、その後嵯峨天皇は、近江・丹波・播磨などの諸国に茶を植えさせ、毎年これを献上させました。

このように京都府と兵庫県にまたがる丹波地方では、古くからお茶の栽培が始まり、「毛吹草(1638)」や「国花万葉紀(1697)」「巡察記(1840)」の書物にもお茶が丹波の特産品である記述が残っています。

丹波地方で生産されたお茶は「丹波茶」と呼ばれ、江戸時代末期になると全国でも有数の生産をあげるまでになり、神戸港から海外に輸出されたと記録されています。

明治時代に入ると蚕業の発達の陰で茶業は停滞しましたが、昭和12年、京都府北部の茶業開発奨励により再び茶業熱が高まり、さらに第二次世界大戦後、集落ごとに確立された生産組合を基に技術改善・共同化・近代化製茶工場の設立がすすめられました。

昭和32年には京都府のお茶の本場であった山城地区の宇治茶に対して、亀岡市以北の京都府域の丹波・丹後地方のお茶を総称して「両丹(りょうたん)茶(ちゃ)」として茶の産地が確立しました。現在では中丹地域の綾部市・福知山市・舞鶴市で栽培される両丹茶は、お茶問屋の手により最終的に宇治茶に加工されて出荷・流通されていますが、両丹茶の一部は私たちJAの手により「丹の国茶」として加工・販売しています。

両丹茶は生産量こそ多くありませんが、全国茶品評会の「かぶせ茶の部」で最優秀賞に当たる「農林水産大臣賞」を受賞された生産者を数多く輩出し、最も優れた産地に贈られる「産地賞」を連続して受賞するなど、茶業界内でも高い評価を受ける隠れた名産地として、宇治茶ブランドを支えています。

生産地

イメージ

中丹地域で栽培されているお茶は、主に日本海に流れる一級河川「由良川」の流域で栽培され、由良川から発生する朝霧立ち込める穏やかな自然環境の中で育ちます。産地の特徴として、霜よけから始まった被覆(ひふく)栽培(さいばい)が挙げられます。日光を遮(さえぎ)るために黒色の幕で茶園を覆うと、茶葉は黄緑色から深緑になり変化するとともにキラキラと光沢を放つようになります、この変化により旨味成分であるテアニンやアミノ酸類が葉の中で増加します。このように手間暇かけた茶葉が玉露や碾(てん)茶(ちゃ)(抹茶の原料)になります。

生産方法

お茶生産方法1写真

両丹茶を栽培している綾部市・福知山市・舞鶴市の茶生産者は、JA京都にのくに茶部会を組織し、部会で統一した方針で栽培を行っています。有機肥料を中心とした施肥と収穫は年に1回に限るなど他産地にはない生産方針をとり、なにより品質にこだわったお茶の生産が行われています。


お茶生産方法2写真

また、管理の行き届いた製茶工場の一貫した製造システムによる荒茶加工(蒸し・揉み・乾燥など)など、品質の高いお茶の生産に努めています。生産された荒茶(生産組合の茶工場で出来るお茶)は全農京都茶市場へ出荷、加工業者により合組(ブレンド作業)され、日本の誇るブランドである宇治茶として世界中の愛飲者に楽しまれています。

お茶の成分・効能

お茶は古来より嗜好品としてだけでなく仙薬として飲まれてきました。現在、いろんな研究によって、その成分のほとんどが明らかにされつつあります。また、その効能についても人体にすばらしい影響を与えることが科学的に証明されてきています。

例えば、お茶にはカテキンという成分が含まれています。最近、業界の中だけでなくマスコミなどにも注目されているエピガロカテキンガレート・エピカテキンなどの総称です。これらカテキン類には、酸化や突然変異を抑え、ガンの発生・ガンの転移を抑制する効果があります。

また、カテキン類は殺菌作用が強く、O-157などの細菌・インフルエンザなどのウイルスを殺菌する作用があります。また、コレステロールや血圧の上昇を抑制し、虫歯を予防したり、消臭作用があるなど、効能をあげればきりがないほどです。

カフェインは大脳の中枢神経を刺激し眠気防止に効果があることが知られ、その他にもフラボノール、ビタミンC・B・E、サポニン、フッ素などの薬効成分を含んでいます。

また、お茶はノンカロリーでとても健康的な飲み物です。日本人の食生活が欧米型化してきているといわれている今日こそ、毎日お茶を飲むことをおすすめします。毎日10杯のお茶を飲む人が多い地域は、そうでない地域に比べ、ガンの発生率が3分の1以下になる調査結果もあります。

お茶のおいしい淹れ方一覧表

茶種 人数 茶量 湯温 湯量 浸出時間
玉露(上) 3人 10g 50℃ 60ml 150秒
玉露(並) 3人 10g 60℃ 60ml 120秒
煎茶(上) 3人 6g 70℃ 170ml 120秒
煎茶(並) 5人 10g 90℃ 450ml 60秒
番茶 5人 15g 100℃ 650ml 30秒
焙じ茶 5人 15g 100℃ 650ml 30秒

  1. 茶葉の量は、目安として6gだと大さじ軽く2杯程度、10gだと大さじ2杯程度、15gだと大さじ3杯程度です。
  2. お茶に使うお湯については、5分~10分よく沸騰させてからお使い下さい。湯沸しポットではなく、直火で沸かすことをおすすめします。

おいしいお茶を淹れるのにお湯の温度は、大変重要です。なぜならば、温度がお茶の味に大きな影響を与えるからです。苦味のカフェインは湯温が高いと短時間で溶けだします。また、苦味・渋味のカテキンは湯温が高くないと溶けにくいのに対し、甘味・旨味のアミノ酸類は、ぬるま湯で長時間浸出した方がよく溶けます。


家庭でのお茶の保存法

お茶は温度・湿度や光線によって変質しやすい食品であるため、冷蔵庫での保存が適していますが、お茶の庫内適温は5~10℃なので、出し入れを考え温度差の少ない場所に保管することが大切です。
また、急激な温度の変化により保存容器の表面に水滴がつくため、冷蔵庫から取り出した場合はすぐ容器を開けず、常温にもどしてから開封してください。開封後は夏季は半月以内、冬季は1ヶ月位で飲みきるのがよいでしょう。肉・野菜など他の食品の匂いが移らぬように茶袋を輪ゴムなどで止め、茶缶の中へ入れ、さらにビニール袋に入れるとよいでしょう。

お茶の種類

玉露 毎年、4月から5月の新芽の伸びる時期、茶園に覆いをかぶせ、20日程度太陽の光を遮って栽培します。
そうすることでやわらかく鮮やかな緑色の葉になり、また、旨味・苦味の元であるアミノ酸の中のテアニン、グルタミン酸が増加します。
50℃から60℃のぬるめのお湯でじっくり出しますと、とろっとした甘味とこくのある深い味わいが広がります。
煎茶 煎茶の場合は4月から5月の新芽の伸びる時期、太陽の光をいっぱいに浴びさせて栽培します。そうすることによって、旨味のアミノ酸と渋みのカテキンの調和が程よくとれ、70℃から80℃の少し冷ましたお湯で出しますと、新芽のさわやかな香りと清涼感のある味わいを楽しむことができます。
この玉露、煎茶の特上と上のセットをそれぞれ、缶入り・袋入りで6種類ご用意しておりますので、ご贈答用、ご家庭用と幅広くご用命賜りますようにお願いします。
青柳 5月の新茶時期、玉露の新芽を摘み取った後、刈り取る番柳をもとに粉抜き、再乾燥などの精選加工して作られた、さえた青みとこくのある番茶が青柳です。細かい茶葉なので、急須でも十分ご使用いただけます。
玄米茶 青柳と国産玄米を半分ずつの割合でブレンドしたのが、上玄米茶です。番茶の味と香ばしい玄米の香りがみごとに調和しています。
煎茶と国産玄米と半分ずつの割合でブレンドしたのが、特上玄米茶です。玄米の香ばしさが煎茶のもつ清涼感、爽快感をいっそう引き立てる高級玄米茶です。